クリオ

記載と記憶とは直角に交わり、この両者は互いに九十度の角度をなしていると言う事ができる。歴史は本質的に縦走的であり、記憶は本質的に鉛直である。歴史は本質的に出来事に沿って動く事である。記憶は本質的に出来事の内部に位置して、なによりもまず、それから外に出ないこと、そこにとどまること、内部からそれをさかのぼることである。
歴史と記憶とは直角をなしている。
歴史は出来事と平行しているが、記憶は出来事に対して中心にあり、その軸をなしている。
歴史はいわば、出来事に沿って、縦走的な溝のうえをすべる。歴史は出来事に平行してすべる。記憶は垂直である。記憶は出来事のなかに突き入り、沈潜し、探りをいれる。