ウタさん2

初期の作品から、ずっとそれぞれの作品で、あなたはイメージ形成の形式的、文化的慣習を探り、映像の製作と、それの読解、反応における問題のある側面に注意を向けてきた。あなたの初期の作品はコンセプトにおいても表象においても、挑戦的なものであった。私はロサンゼルスの現代美術館で(LAICA)で展示されたあなたの初期の作品が懐疑の眼差しで見られていた事を思い出す。ロサンゼルスのカウンティーミュージアムで1989年に行われたDeliberate Investigations展で展示された無題のシリーズのなかの光学的幻影作品や、抽象作品、輪郭をぼかした写真なども同じように見られていた。Groundのシリーズはもっとより人目を惹く(Fieldsのシリーズもそうだが)。初期のシリーズのいくらか過激なスタンスから、より統一され、静謐な最新作への変化と、あなたが探求している見る人に対する効果について話してくれませんか?


 Uta Barth: 実際この変化は劇的なものではない。ひとつの作品の全体は文字通りもう一つものから導き出された。最初期の「背景」の映像はあなたがさきほど触れた展覧会において、光学的幻影や、大きな単色のカラー写真や、他の写真と併置されたなかで見いだされた。私はそれらに強く興味を持ち、風景の前で人々が撮る、通俗的で慣習的なスナップ写真の形式にもとづいて背景のシリーズを独立して撮り始めた。当時私は強い意識的な決意を持っていくつかの作品を作ろうとしていた。それは形式的にはかなり違いはしたが、視覚のちがった側面を扱っており、共通分母として前景に注意を払う行為を導き出すものである。わたしはこの3つの、形式的にも構造的にも異なった作品を同時に展示し、そのことによってこの作品の領域が互いに交差することが明確になるように望んだ。以前は人々は私の作品の形式的な面に簡単に惑わされるか、ある「視線の力学」を圧倒的で、単一の「意味」として読むことに没頭しがちだった。なので、私はこの読みを混乱させ複雑にして、もっと広い範囲にわたるより大きな問題に目を向けさせたかったのだ。