矛盾

リスボンのドイツ大使館で行われたレセプションパーティーで、イタリアの前の王であるウンベルトが、共産党のリーダーであるクニャルとの長い会話中ずっと相手に賛辞を送り続け、一方でクニャルのほうでは、親切にもウンベルトの為にドアを開けてあげたり、椅子をひいてあげたりした。それはまるで、前の君主がずっと共産主義の世界革命を賞賛し続け、共産党のリーダーが以前の君主制の業績を讃えているのを、私が一晩中目撃しているようだった。最後にはウンベロがクニャルを、ポルトガルで最も美しい場所であるシントラの彼の家に招待し、クニャルもそれを受けたのだった。真夜中、私が家に帰る途中、リスボンでは怒った群衆が邪悪な政治矛盾に怒号をあげていた。