ウォルフガング・ティルマンズ

今日はオペラシティギャラリーでウォルフガング・ティルマンズの展覧会を見てきた。広いギャラリースペースでいつものごとく多くの写真を配置している。サイズも街の現像屋にだすとあがってくるようなL版サイズのものから幅数メートルもあるインクジェットプリントまで多種多様。
展示方法も大きいサイズのものになるとクリップではさんだり、額に入っているものもありますが、ほとんどがセロハンテープで壁に貼ってあります。
セロハンテープで貼るというカジュアルさには共感もてます。写真なんてたんなる紙切れですからね。軽いものを重たく見せることによって「アートっぽく」することほど軽薄なことはない。この展覧会と関連して近くのギャラリーwako works of artでは同じようにセロテープで壁に貼られた14×11サイズほどの写真がたしか70万円ほどで売っていました。売れていたようでした。


ここからは作品について。ティルマンズの写真に多く見られる要素にレイヤーというものがあります。レイヤー、日本語で言えば層、重なりともいえるでしょう。
レイヤーというとパソコンの出現とともによく使われるようになったもので、僕が真っ先に思い浮かべるのが、1990年代中頃以降のイギリスのクラブミュージック関係のグラフィックデザインです。ハウス、テクノ、アシッドジャズ、ドラムンベースらの未来的な雰囲気を表すのにレイヤーを使ったデザインは非常によく見かけ、そのようなビジュアルから逆にこのような音楽を連想するほどのものでした。実際ティルマンズがロンドン在住のドイツ人のゲイでいわゆるクラブシーンの写真を撮っていたということから、容易に関連づけもできるのだが、そうではなく、実際の写真からそれが見られるのである。