ティルマンズの写真とレイヤーについて

ティルマンズの写真にみられるレイヤーについて
脱ぎ捨てられた洋服の重なり、また写真の上からわざと印画紙を感光させたような写真、窓ガラス越しの写真。
レイヤー、層。層は普通に表面だけ見た限りでは一番上の層しか見る事ができないので、それを層と認識するには横から断面を見るか、全てを重ねるのではなく、一部だけ重ねて地が見えるようにするか、もしくは透明、もしくは半透明の層にして下が透けて見えるようにする必要がある。ティルマンズの写真の多くはこのうちいずれかの方法で不可視のレイヤーを目に見えるものに転換している。
単なる紙である写真は物理的にはいたって純粋に平面のメディアある。絵画と比較してもマチエールもない写真は平面で薄っぺらいメディアである。ただレンズのパースペクティブによってそのイメージに立体感が付与される。その遠近感はもちろんレンズの種類によって強調されたり、弱められたりするものであるが、写真においては自動的に付与さえる。
そうやってif one thing matters,everything mattersを見ていたら、窓辺においた植物の写真でその通りlayersというタイトルの写真があった。