ガスケ

昨日日仏学院ストローブ=ユイレの最新作「ルーブル訪問」を見る。英語の字幕付きだったはずが、当日いってみると受付で「今日は字幕無しになりました、どうしますか?」と聞かれ「問題ないです。」と即答し本のコピーを渡される。その資料はジョアシャン・ガスケ著の「セザンヌ」からの抜粋。そのなかからストローブ=ユイレがこの映画に引用した部分にカッコしてある。フランス語は当然わからないので、よし映像ととにかく音に集中しようと心を決めた。始まる前に説明があり、英語字幕は当の監督が出来に納得がいかず、そのような字幕をつけることを許さなかったとのこと。妥協せざる映画監督。それじゃしようがないな。
ルーブルの訪問といっても当然ルーブル美術館ガイドのようなものではなく、ルーブルにある絵画、彫像の数点のみ写し、それもほとんど複写のごとく正面からとったものがほとんど。そのことによって絵画にあたる光が強調される。光というのは絵画の中の光ではなく、撮影時に絵画に当たっていた光。そしてその映像とともに前述の「セザンヌ」のなかでのセザンヌの発言を朗読しているのがかぶさる。これまた言葉がわからない僕にはその分、その息遣いが印象に残った。字幕があっても目で追う事に神経を使ってしまって結局置いてかれることを考えるとこういう見方もいいのかな。ご丁寧にもこの映画は、同じテクストでショットの長さが微妙に違う2つのヴァージョンを連続して上映するというかたちをとっていて、同じテクストに2度付き合うことになる。
je suis cezanne!
Museum Photos: 1995トーマス・シュトゥルート 心象